脂漏性皮膚炎が原因の脱毛

 近年、もっとも原因の主としてあげられるのが脂漏性皮膚炎です。当然、炎症度合いには個人差があり、各方面において皮脂は有害の物だと言われています。ですが、これは大きな間違いです。
 皮膚には、体内から分泌される皮脂が必要です。皮膚の表面に膜をつくり、潤いなどを与えてくれる大切な物になります。
 しかし、肉食を中心とした食生活や、生活環境の乱れなどから、皮脂の過剰分泌が様々なトラブルを引き起こしています。
■過敏性及び脂漏性の併発■

 実際に、中学生など代謝が活発なお子さんを見ると、どの世代よりも皮脂が多く分泌され、昔からニキビやフケなどに悩む事が多いのは当然です。以前はこの程度で終わっていたのですが、その後も状況が改善されないと、脱毛にいたるまでになってしまう場合があります。
 これは日本人の食生活の変化などが大きく影響しています。ただでさえ皮脂の分量が多いにもかかわらず、体質的に、動物性たんぱく質の過剰摂取がこのような状態を引き起こしています。これは決して中学生だけに言える事ではなく、現在の日本人全般に言えることになります。
 皮脂腺の機能は、ホルモンによってコントロールされ、思春期以前は皮脂腺から皮脂がそれほど分泌されませんが、思春期に入ると、アンドロゲンなどの男性ホルモンが活発に分泌されるようになります。脂質はどれも同じではなく、頭皮の皮脂と、髪にツヤなどを与える分散脂質とは異なるものです。
 脱毛や薄毛を引き起こす皮脂の過剰分泌は、ホルモンの作用のほか、栄養不良、ストレス、環境の変化などが考えられます。


 脂漏性皮膚炎とは、頭皮の表面や毛根の周囲に皮脂が付着し、そこが不衛生になり引き起こす皮膚炎の一種です。原因は様々で、何気なく頭を掻いていた所が傷になり、皮脂や汗などが原因で雑菌がたまり炎症を起すケースや、アトピーなどで元々皮膚自体が過敏になっている箇所に、皮脂や汗が状態を悪化させてしまう場合もあります。さらに近年、シャンプーなど合成界面活性剤が多く含まれたシャンプーなどによって、体内から分泌された皮脂と混ざり合い、脂漏性皮膚炎を悪化させるケースもあります。これは、皮脂の過剰分泌も一因ですが、シャンプー後の濯ぎ不足も原因になっています。
 シャンプーとは、元々ラテン語で「マッサージ」という意味があるのですが、シャンプーは髪を綺麗にする行為だと、皆さん勘違いされています。

 通常、日常生活による髪の汚れは80%が濯ぎだけで落とせるといわれています。確かに、スタイリング剤などの多用によって、汚れが付着しやすくなっているのは事実ですが、シャンプーにもっとも大切なのは、頭皮や毛根を洗い、さらにマッサージをして血行をよくするという事です。

 近年、カラーリングやカットの技法などが原因で、髪のダメージが著しく、CMなどで宣伝されているツヤやダメージを改善してくれるような商品を選ぶケースが増えています。しかし、商品によっては石油などを原料にした合成成分が使われている事があります。
 前にもお話したように、現在の日本人は皮脂などの分泌量が多いにもかかわらず、それに加えてこのような合成成分が混ざり合えば、当然毛根を埋めてしまい、脂漏性皮膚炎を引き起こす可能性が大変大きくなってしまいます。

 毛根は、本来ある程度の隙間があり、一つの毛穴から2,3本の髪が生えています。その根元の方に、皮脂を分泌する皮脂腺や髪を作り上げる毛乳頭などがあるのですが、綺麗に落とされていない皮脂などが毛根を埋めてしまい、本来排出されるはずの皮脂が、毛根内部の隙間を埋めていってしまいます。
 そうなると、限られた隙間でしか髪は育つことができなくなり、髪の一番根元の部分が細くなり、髪が抜け落ちてしまいます。
 それを繰り返すうちに、以前は太くしっかりとして生えていた髪がだんだん細くなり、2,3本あったはずの髪の1本が抜け落ちてしまうことになります。


 このような状態を放置しておけば、当然髪が薄くなったという印象を受けても仕方がないと思います。
 そこで大切になるのが、シャンプーなどのケアです。
 以前はこのような状態になってしまうと、専門的なケアをしてくれるサロンでしか対応はできませんでした。
 しかし、近年このような状態が引き起こす様々なトラブルに対し、各メーカーが皮脂を落とすシャンプーやケア商品を開発しました。
 さらに女性のメイクなどにも最近多く使われている、オイルクレンジング(皮脂のような油を植物成分のような油を使い柔らかくして落とす)などもあります。
 この考え方は、アメリカ先住民族がホホバオイルを使い頭を洗っていましたし、日本でも椿油をつかっていた事を考えても、昔から存在するケア方法の一つです。
 シャンプー前のブラッシングなど、美容院で洗ってもらう前に行なっていたことは、手で洗う前にある程度ブラシを使い、皮膚の表面につく汚れをかき出してから洗うと綺麗になる為なのです。
 このような事は何十年も前から行なわれていました。
 皮脂などが原因で脱毛が起こると確認されたのは、まだほんの10年前からで、無意識に行なっていたケアは実は理屈にはあっていましたが、実際にはその必要性を皆さんも十分理解していなかったと思います。

 現在の日本人の生活習慣や体質は、特にこの10数年の間に大きく変化しました。
 地球の温暖化や冷暖房施設の整備によって、日本古来の環境も大きく変化しています。
 気温の急激な上昇や低下に加え、屋内外の湿度や気温の差が目まぐるしい中、体や皮膚はこの落差に順応する事はとても大変です。
 このような事がきっかけで、近年脂漏性皮膚炎のような症状に悩む方が増えています。


 基本的に一番大切なことは、どうやってバランス良く皮脂を落とすかということです。
 強すぎるクレンジング性や刺激は、かえって頭皮を敏感にさせてしまい、新たなトラブルの原因につながります。髪に対する負担もとても大きいです。そこで重要なのがカウンセリングになります。
 今まで使われていたケア商品や取りいれていたケア方法、その方の生活サイクルの中で、頭皮や髪に悪影響を及ぼす生活習慣など、思い込みから起こる間違ったケアについて誤解や事実を知る事、そのようなメンタル的なアドバイスによって、初めてストレスを緩和することができます。
 当然、マイクロスコープなどを使っての頭皮や毛根の状況を的確に診断する事も大切ですが、ご自身がなぜ今のような状態に至ったかの経緯をご理解いただくことがとても大切です。

 脂漏性皮膚炎は、確かに皮膚の炎症であり、直接抜け毛や薄毛につながる要素の一つです。
 クレンジング性のある良質なシャンプーや手では落としきれない皮脂を、シャンプーブラシなどをつかって清潔に保つ事はとても大切です。
 専門的な機器を使い、ご自分でできないケアを定期的に行うことで、回復期間を早めたり良い結果を出すことも可能ですが、一番大切なのは、日頃皆さんが行なっている悪影響をおよぼす生活習慣を正し、個々にあったケア方法や商品をお使いなる事が、結果として脂漏性皮膚炎が原因の抜け毛や薄毛を改善することになるのです。


 皮脂で埋まっている毛根の状態は、どのような育毛剤を使っても、毛根の根元にある毛乳頭まで育毛剤が届かないため、効果は発揮されません。育毛剤などに含まれる血行促進成分の効果は、この毛乳頭に到達して、はじめて毛細血管の働きを活発にさせ、血液中のたんぱく質が髪に変化します。
 髪の三大成分であるミネラルや亜鉛などは、お使いになるシャンプーやサプリなどで補うといいと思います。

 女性の肌によく用いられる、コラーゲンやヒアルロン酸などの美容液の栄養成分は、本来角質の間の隙間よりも分子が大きいため、皮膚が形成される真皮まで到達できません。その為、美容整形などで用いられるような皮下注射などの方法がとられていたり、現在注目されているナノテクノロジーやピコテクノロジーを用いて、有効成分の縮小化が進められています。
 本来雑菌などを防ぐための、皮膚のバリアゾーンがこのような成分も浸透しないようにしてしまう為、高額な商品をつかっても結果に繋がらない場合があります。
 その為近年、美容エステ業界ではこのようなバリアゾーンの効果を、美容液などを塗布後、イオン導入器などをつかって中和させ、結果を出すような方法もとられています。幸い髪の場合は、育毛剤などが作用してほしい毛乳頭部分まで穴が開いているので、効果が期待できる為、アメリカなどの発毛専門の皮膚科では、日本ではまだ未承認の飲む育毛剤を使いながら、塗る育毛剤も併用して処方しています。

 このような飲む育毛剤も、男性ホルモンを抑制するものから、飲むミノキシジルのような血行を促進する目的の商品など、幅広く開発はされており、日本でもいずれ使われる可能性もあるかもしれません。
 ただ、現段階では抗がん剤なども含め、海外では当然のように使われている医薬品が、日本では使うことの出来ない状況などを考えても、日頃のケアで状態を悪化させないようにすることはとても重要です。
 よく自分は乾燥性の肌(顔や体)なのでフケや脱毛の原因は脂漏性ではないといわれる方があります。
 しかし皮膚表面に分泌される皮脂量は皮脂腺の総数と大きさによって異なります。
 したがって皮脂量は皮脂腺の大きさや総数が多いほど増大し、人間の最大の皮脂腺は頭部にあります。その為にケアの方法やお使いいただきたい有効なケア(商品や方法)にも当然個人差があります。この具体的な判断は肉眼では不可能です。