プロペシアを利用した育毛

 日本でも処方が開始されたプロペシア。主な役割は体内における男性ホルモンの抑制です。
 血液中のたんぱく質が毛乳頭において細胞分裂を繰り返し、髪へと成長するのですが、この邪魔を男性ホルモンがすると言われています。
 この薬自体はアメリカで前立腺肥大の薬として開発され、実験段階で抜けていた髪が復活したということから、毛髪のための転用を10年ほど前からはじめました。
 最初は、この薬単体で髪が回復するといわれておりましたが、その後の研究によってプロペシアの服用は男性ホルモンによる悪影響を制御する力があるのは確認されています。しかし、他の抜け毛の原因(毛根の皮脂の根詰まり、血行不良)に関しては別の対処が必要だとわかり、アメリカなどでプロペシアを処方される際は、必ず育毛剤の使用が不可欠との説明を受けます。

 育毛剤の使用に当ってもそうですが、いつもお話をするように毛根などの状態が良くなければ当然浸透性は悪く、育毛剤の本来の効果を果たさないばかりか、塗っていても無駄な状況のケースがあります。プロペシアや育毛剤をご利用いただいていたとしても、皮脂などのコントロールができていなければ根本的な解決になりません。


 一番の問題はこの薬を処方する医師側にあると思います。

 プロペシアは皮膚科だけではなく、内科などでも簡単に処方されていますが、詳しい説明をされていないケースが多いようです。6ヶ月単位で服用の継続または中止を決めているようですが、せっかくその間まじめに服用していても、基本的な頭皮ケアや育毛剤を使わなければ、プロペシアが持っている成分の有効利用になりません。これは、この成分を開発したアメリカでは、すでに7年も前から言われていることです。
 生活改善薬であるプロペシアは保険適用薬品ではないため、処方にあたり厚生労働省から本当にこの薬が必要かどうかのチェックが入りません。そのせいで、容易に処方されることがあります。生活改善薬は病気に対して処方されるお薬ではないので、副作用等注意点の説明を受けた上で、飲む・飲まないを選択するのは自己責任ということになります。

 プロペシアは開発されてから既に10年以上がたち、アメリカでは主に髪を専門とする医師が処方します。ところが、現在の日本では皮膚科、内科だけではなく、歯科や眼科でもAGAのパンフレットを見る機会があります。たとえ皮膚科や内科でも、残念ながら髪の専門知識がないところがほとんどです。この薬を使用した臨床結果などの情報を、「知らない」のではなく「知ろうともしない」のが日本における現状です。

 先に申し上げたように、海外でも開発当初はプロペシアだけの服用によって発毛するといわれておりました。ところが「薬を飲み続けても効果がない」という声が様々な方面から上がり、さらに研究を続けた結果、男性ホルモンを抑制しただけでは発毛はしないことがわかりました。そこで、育毛剤や低レベルのレーザーなどを使って頭皮の血行を促進する必要があると考えられ、現在では海外でのほとんどの医療機関でそのような方法がとられております。

 日本では、内科だけではなく皮膚科や発毛クリニックなども皮脂の排除などのノウハウやプロペシアと併用利用する育毛剤に対する知識や薬品がないことや、様々な要素が重なりあってしまい、現在の日本では正しい形でのプロペシアの利用方法の説明を医師が行っていない場合があります。
 せっかく毎日決められた薬を飲んでいるのにも関わらず、正しい情報提供がされていないために期待しているような効果を得られずにいる方が沢山います。


 それと、飲む側にも問題があると思います。
 プロペシアやミノキシジルタブレットなど、近年「服用する育毛剤」というものが開発されております。皆さんが「飲むほうが効く」とお考えになるのは当然です。しかし、実はここに大きな誤解があるのです。

 薬と聞くと用途によって作用する所に現れる効果を皆さんは期待すると思います。たとえば鼻炎用の薬を服用すると鼻水やくしゃみだけが止まるようなイメージがあります。ですがこのような薬を飲むと、喉の水分がなくなり乾きを感じることはありませんか?
抗がん剤も同様で、がん細胞だけで作用すれば問題はないのですが、副作用などで体が衰弱してしまうという話を聞いたことがあると思います。

 プロペシアやミノキシジルタブレットも髪の毛根だけで作用するのであれば問題ありません。ですがそんな都合よく行くわけではなく、この二つの薬の影響は体のほかの部分にも及んでしまうからです。
 髪の場合毛穴があるため、毛穴がしっかりときれいであれば、わざわざ体の内部から供給しなくても、塗るほうが一番作用をしてほしい「毛乳頭」へ、より効率的に届くことになります。イオン導入やマイクロバブルなどが重要なのはこのためです。
 実際、プロペシアを服用されていて効果がなかった方たちに、僕は服用を中止して基本的なケアと育毛剤の使用をおすすめします。そのほうがプロペシアを単体で飲んでいるよりも回復した例がたくさんあるからです。プロペシアを服用するよりも塗るほうが効果は期待できます。

 プロペシアだけではなく、ミノキシジルも含め、育毛や発毛を目的とした医薬品を仮に利用したとしても、抜ける原因を特定し、根本的に改善しなければ意味がありません。
 たとえば、ダイエットのための薬を飲んでいるのに毎日の食生活は一切変えず、好き放題食べていて体重は減るでしょうか?
 虫歯を治す特効薬が開発されたとしてそれを服用しているのにもかかわらず歯を磨かずに虫歯を予防できるでしょうか?
 タバコをやめるための薬があったとして、それを服用しているのであれば、薬だけに頼るのではなく、自らの意思や努力も必要なのではないでしょうか?
 プロペシアを服用する方の多くは、この薬を飲めば抜け毛がなくなり発毛すると信じていると思います。ですが、それだけでは改善は望めません。もっと基本的なケアが重要なのです。

 元々体質的に男性ホルモンの多い欧米人へのプロペシアの有効性に比べると、日本人の場合は男性ホルモン自体の量が少ないと言われています。
 現在プロペシアを服用されている方や今後検討している方など、飲むだけではどうにもなりませんので、同時にしっかりと育毛剤や日々の頭皮や毛根のケアを行ってください。

 皆さんがプロペシアやミノキシジルタブレットに大きな期待を寄せるお気持ちはわかります。
 人間の心理として、クスリというものは即効性があり、すぐに体に効くというイメージがあるかと思います。風邪薬や痛み止め、胃腸薬など、使えば効果がはっきりとしている薬が私達の前には大変多く存在します。
 簡単な病気であれば、薬局店で薬を購入し飲めば済むと考えます。より深刻な病気の場合、病院にいって医師の診断を受け、専門的な薬を処方していただくことになります。
 医師から受けた説明や指示を一体どれだけの方が治療の一部とお考えでしょうか。それよりも自分の症状にあった薬を状態が回復するまで飲めば治ると考えてしまいませんか。
 風邪や腹痛などは一時的な体調不良なのでそれでも当然大丈夫だと思います。
 ですが抜け毛などは普段の生活習慣や体質などが大きく影響しています。
 抜けてしまう原因はなんであったのか。どのような方法が現在の状態に適しているのか。日々の生活の中で何を注意すれば良いのか。
 きっと医師も様々な注意や現在の状況などを説明してくれていると思いますが、それにはあまり耳を傾けていないと思います。医師の説明を聞く事よりも、薬を飲むことの方が大切だと考えてしまいます。


 一つ断言させていただきます。
 プロペシアやミノキシジルは、抜け毛を引き起こしている原因の一部を改善してくれるものであって、けして特効薬ではありません。これらを使ったから他に何もしなくて良いと多くの方が考えているようですが、これも間違いです。
 「プロペシアやミノキシジルを使ったことがあるが効果がなかった。」
 「育毛剤や宣伝をしている大手メーカーの商品をつかっても抜け毛が収まらなかった。」
 このような声を今まで何度と聞いたことがあります。
 これは、プロペシアやミノキシジルが効くか効かないという問題ではないのです。
 抜け毛が起こっている原因が、ホルモンに関係しているのかいないのか。
 血行が(食、生活、体質、遺伝)なんらかの理由が悪くて起きていて、それを育毛剤の血行促進成分だけで補えるのか。
 育毛剤を利用して、決められた量をしっかりと守っていても、それが本来作用しなくてはいけない患部まで届いているのかどうか。
 そのようなことを踏まえた上でご利用にならなくては、意味がないということなのです。


 現在、日本で発売されているプロペシアの回復データなどは、体格、生活習慣、人種的に日本人とは全く異なる、欧米人のデータでしかありません。体質的にも、平均的欧米人の男性ホルモンの量と、平均的日本人の男性ホルモンの量では全く異なります。加えて、生活習慣などが異なれば、そのままの回復例というのは参考にはなりません。しかも、髪がなぜ抜けるのかという知識を持っていない医師が、育毛剤などを併用する重要性の説明をしていない現状。
 僕の個人的意見としては、男性ホルモンの量が比較的少ない日本人には、海外で発表されているプロペシアの有効性は、そのまま当てはまらないと思います。もちろん、男性ホルモンの影響を無視するということではありません。

 日本でプロペシアが発売されて2年が経過し、その間、育毛剤を併用されていた方、何人ともお話をし状態を確認しましたが、一切の基本的なケアをおこなわず、プロペシアの服用とミノキシジルをご利用になっておられたようです。実際の成功例は約20%という結果でした。
 そこで残りの80%の方たちに、プロペシアの使用を中断し、イオン導入や基本的ケアのアドバイス、ビールホップ成分での女性ホルモンの向上、生活面での注意点をアドバイスし、塗布用のミノキシジルを継続使用いただいた所、半年で60%の方が回復をしていると実感したとのお答えをいただきました。

 服用タイプのミノキシジルをお勧めすることは、現状のままでは僕としてはできません。副作用の点だけではなく、アメリカでもその効果に依然として疑問点が多いと発表されています。
 日本で正式承認され、取り扱いなどに対する知識を医師が学んだ時には服用を検討しても良いと思いますが、それまでは安易にご利用になるのは危険だと思います。