男性ホルモンの抜け毛への影響

 男性ホルモンによる抜け毛に不安を抱えておられる方たちが沢山おられると思います。今まではその影響に対して効果的な対処法がなかったのが、より不安を煽る形になっていたと思います。遺伝的に男性ホルモンが多い家系の方は、体毛や髭が濃いと、自分の抜け毛の原因が男性ホルモンではないかと考えてしまうことでしょう。

 以前、男性ホルモンによる脱毛は、睾丸より分泌される「テストステロン」が影響し、抜け毛を引き起こすと考えられていました。ですが、近年の研究によって、テストステロン自体に髪の育成を妨げる作用はなく、皮脂腺から分泌される酵素(5A―リダクターゼ)とテストステロンが結合すると、毛髪の生成を害す「ディヒドロテステロン」となり、抜け毛や薄毛につながると解明されました。

 このディヒドロテステロンは、毛乳頭や毛包などの周辺組織に大きな影響を与えます。毛細血管を収縮させたり、血液中のたんぱく質が毛母細胞で分裂しにくくなったりします。さらに、毛包を萎縮させるため、生え出す毛髪が弱って異常脱毛が引き起こされます。

 現在、このような現象に有効といわれるのは「フィナステリド」に代表される、男性ホルモンの抑制剤の服用や、大豆エキスなどの植物成分によって皮脂の異常分泌を防ぐと共に、5Aリダクターゼの働きを阻害すること(サプリメントを服用したり、育毛剤等の成分を直接毛根内部に働きかける)です。
 それと、ディヒドロテステロンによって不足する毛母細胞のエネルギー源であるアデノシン3リン酸ニナトリウム(ATP)を補うことが必要となります。

 現在でも様々な研究が続いていますが、男性ホルモンの影響を大きく受けているはずの方(髭や体毛の濃い、精力旺盛)でも抜け毛などに悩まなくている人がいるのは、以上のようなことが関係しています。


 一昨年の12月より処方が開始されたフィナステリド。
 最近服用されている方のお話を伺う機会が増えてきました。

 この薬は、一般的な内科から形成外科などが経営する発毛クリニックにいたるまで、幅広い病院で処方をしてもらえるようです。ただ、フィナステリドを処方する医師側の、この薬に対する知識などが少し欠如しているように感じられます。処方をする基準も明確にされておらず、生活改善薬のため、本人が希望すれば誰もが手に出来てしまうのが現状です。

 10年以上前から承認されているアメリカで、様々な症例によって言われていることですが、フィナステリド単体の服用では期待されるほどの結果を得ることはできません。これは仮に男性ホルモンを抑制しても、同時に血行を促進するような育毛剤などを使わなければ意味がありません。

 確かに男性ホルモンの感受性の高い方の場合、フィナステリドを服用することで薄毛や抜け毛などの進行を遅らせたり止めたりすることは可能かもしれません。しかし同時に、現存する髪や新たに生え出そうとしている髪に必要な血液の供給を促さないと、回復にはつながりません。

 たとえるならば、肥満の男性の方が、体をしっかりとした筋肉質の体型に変えたいと願った場合、まず必要なのは余計な栄養を摂取しないために食生活などを見直し、脂肪につながらないような食事の節制が必要になります。これをフィナステリドによって男性ホルモンを抑制しているとお考えください。
 当然、肥満気味だった体は瘠せていくでしょう。
 さらなる肥満にならないのが目的であったり、ダイエットを期待するのであれば、食事のコントロール(男性ホルモンの抑制)で十分かもしれません。ですが、今回の目的は筋肉質な体型です(髪が太くし、新たな髪が生えだす)。
 その場合、余計な栄養を取らないのと同時に、体を鍛える行動が必要となります。(この時行われるトレーニングのような刺激が、育毛剤の使用によっての血行促進に当たります。)この二つを同時に行わなくては期待するような結果を得ることが不可能だということとが、育毛・発毛に対しても言えることだと分かり、現在アメリカでは必ずフィナステリドと共に育毛剤の使用が薦められています。

 ですが現在の日本の医療現場では、そのような説明を受けていないケースが多く、フィナステリド単体で薄毛や抜け毛が改善するような印象を受けている方が大変多いようです。


 男性ホルモンを抑制するに当たって女性の服用が認められていないのは当然ですが、フィナステリドを服用している最中に性行為を行い、それによって妊娠をした場合、お子さんが男の子だと、生まれたとき生殖器に異常を来たす可能性があることを危惧する医療関係者もいるようです。一部医師は子作りを予定している時には、フィナステリドの服用を一時停止するよう勧めているそうですが、どれくらい前から服用を中止するかなどのガイドラインが設けられていないようです。

 フィナステリドを現在ご利用の方や今度利用する予定がある場合には、髪の改善などに対する質問だけではなく、このような具体的な質問を必ずしていただくようお勧めします。